やること・やらないことの決め方
時間管理の質を大きく左右するのは、「やること」を決めるだけではありません。「やらないこと」を決める力こそが、研究者としての成長や成果に直結します。
研究の世界における「選択と集中」
研究者の時間は有限であり、全てのアイデアやタスクに手を出すわけにはいきません。限られたリソースの中で、何に集中するかを選ぶ必要があります。
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やることの基準
- 研究の核となる問いやテーマに直結するか。
- 自分の成長に寄与するか。
- チームや研究室に価値をもたらすか。
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やらないことの基準
- 重要度が低く、緊急性だけが高いもの(他者の都合に振り回される雑務)。
- 自分の強みや方向性から逸れた活動。
- 成果のない過剰な完璧主義。
断る力を持つことの大切さ
特に若手研究者や学生は、「頼まれたことは全部やらなければ」という感覚に陥りがちです。しかし、すべてに応じていては自分の研究が進まないばかりか、体力も気力も削られてしまいます。 断ることは冷たいことではなく、研究の質を守るための重要な戦略です。
具体的には:
- 相談や依頼を受けた際、「これは自分の研究・成長につながるか?」と一呼吸おく。
- 丁寧に事情を説明し、断る。
- 必要な場合は代替案を提案する(例:「今は難しいですが、来月なら」)。
小さな決断を積み重ねる
やる・やらないの判断は一度決めて終わりではありません。日々の中で小さな選択を積み重ねることで、時間の質は磨かれていきます。 「今日やらないことを1つ決める」だけでも、時間の余白と集中力が生まれます。
この章のまとめ
- 「やらないことを決める力」は、研究者の時間管理の核心である。
- やる・やらないの基準を明確にし、練習として日常で小さな決断を積み重ねる。
- 断ることは冷たいことではなく、質を守るための戦略である。