第6部の概要
第6部「研究スキルと実践知」では、研究の営みを支える具体的な技法と知識について詳しく解説します。
研究への思いや動機を確認し、全体像を把握した今、次に必要なのは 実際に研究を形にするための実践的スキル です。 この部では、論文の構造から逆算した研究設計、メソッドの選択、データの扱い方、 そして論文執筆から図表作成まで、研究の品質を左右する技術的要素を体系的に学びます。
この部では以下のテーマを扱います。
- 論文の構造(IMRAD)と種類(ジャーナル・会議論文)
- 論文から逆算する研究設計の考え方
- 定性・定量・システム開発研究のメソッド
- 実験・調査の設計と実施
- データ収集・分析と再現性の確保
- 論文執筆のプロセス(タイトル・アブストラクト・イントロダクション)
- 関連研究の探し方・読み方、引用の技法
- 図表・統計・可視化の技法、校正・リライトの技法
これらを通じて、研究を 個人的な興味から学術的貢献へと昇華させる具体的な方法 を提示します。 技法は単なる手続きではなく、思考を整理し、知を構造化し、他者に伝える道具であることを理解できるでしょう。
研究スキル習得の目標:概念を明示的に表現する能力
研究スキルを身につける目的は、あなたの発見を明確な概念として表現し、適切に名付ける能力を獲得することです。
各スキルが概念表現に果たす役割
論文構造の理解 → 概念を論理的に整理し、読者に伝える メソッドの選択 → 概念を検証可能な形で実証する データ分析 → 概念を定量的に裏付ける 可視化技法 → 概念を直感的に理解できる形で表現する 執筆技法 → 概念を明確に定義し、適切に命名する
概念表現スキルの習得
1. 概念の明確化スキル 曖昧な発見を、明確で操作可能な定義として表現する技術
2. 概念の命名スキル 発見した概念に、覚えやすく本質を表す名前を付ける技術
3. 概念の位置づけスキル 新しい概念を既存の理論体系の中に適切に配置する技術
これらのスキルを身につけることで、単なる技術的な手続きを超えて、世界に新しい概念を贈る営みを支える創造的な能力を獲得できます。
初めて研究に取り組む人も、すでに研究を進めている人も、 この部を読みながら、ぜひ「研究の品質を高める技法」を体得してください。