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新しいテーマへの展開

研究がひと区切りつき、論文発表や学会発表を終えたとき、次にやってくるのが「次の問い」を探すフェーズです。多くの学生はここで戸惑います。「もうやることは出し尽くしたのではないか」「これ以上新しいことなんて思いつかない」と感じるかもしれません。しかし実は、ここからが本当の研究者としての勝負どころです。

研究のサイクルを意識する

研究は単発のイベントではなく、問いと答えが連鎖するサイクルです。 一つの問いに対する答えは、新たな問いを呼び起こします。

  • この結果は他の状況でも成立するのか?
  • 制限条件を緩めるとどうなるのか?
  • 別の手法で再検証できるか?

こうして研究者は、個別の成果を積み重ねつつ、研究領域全体の地図を広げていきます。つまり、新しいテーマを探すとは、「既存の研究から自然に生まれる問いをつかまえる」ということなのです。

リサーチアジェンダの構築

ここで役立つのが リサーチアジェンダ という考え方です。これは、自分の研究の中核に据える大きな問いの集合や、長期的な研究計画のことを指します。

リサーチアジェンダを立てるときは、

  • これまでの研究で何を明らかにしたのか
  • まだ解けていない問いは何か
  • 社会的・学術的にどんな意義があるか

を整理し、次の数年間で取り組むテーマを見出します。このプロセスでは、メンターとの議論や、他の研究者との対話が非常に重要です。

成長と循環を楽しむ

最初の研究テーマは多くの場合、与えられた課題です。しかし、次第に自分の中に問いを立て、テーマを選び、自律的に進める力が求められます。これは研究者としての成長の証です。

一方で、「次のテーマが思いつかない」という停滞感は、決して恥ずかしいことではありません。むしろ、研究の限界を意識し、新しい地平を切り拓こうとしているサインです。 焦らず、これまでの成果を振り返り、周囲と対話し、少しずつ新しい道筋を探っていきましょう。

この節のまとめ

  • 新しいテーマは、既存研究から自然に生まれる問いの中にある。
  • リサーチアジェンダを意識し、長期的な問いの集合を構築する。
  • 停滞感は成長のサイン。振り返りと対話を通じて次の一歩を探る。