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研究室での成長のしかた

成長の基本姿勢

古池研究室での成長は、単なる技術の習得や論文数の増加ではなく、 「研究者としての考え方と態度を培うこと」 にあります。

研究とは、問いを立て、仮説を立て、方法を選び、結果を吟味し、 他者と対話しながら知を練り上げていくプロセスです。 この過程にじっくり取り組むことで、表面的なスキルを超えた 深い思考力、批判的視点、問題発見・解決能力が養われます。

研究の成長は急激には訪れません。 しかし、一見小さな試行錯誤や失敗の積み重ねが、 後から振り返れば飛躍の種になっていることがほとんどです。

成長を支える4つの柱

  1. 主体性の発揮 指導者の指示を待つのではなく、自ら問いを立て、調べ、試す。 研究では「何をすればいいですか?」という受け身の姿勢ではなく、 「これを試してみたいのですが、どう思いますか?」という能動的な姿勢が求められます。

  2. 対話と協働 自分のアイデアを人に話すことで気づきが生まれ、 他者の議論からは新しい視点を得られます。 研究室内では、自分のテーマだけでなく、仲間のテーマにも関心を持ち、 建設的な議論を心がけることが重要です。 その積み重ねが研究室全体の知的雰囲気を豊かにします。

  3. 失敗を恐れない 失敗は研究の核心です。失敗したとき、 うまくいかなかった理由を分析し、修正案を練ること自体が 研究力の鍛錬につながります。 「失敗したくない」と臆病になるより、 「早めに小さな失敗を積み重ねる」方が長期的には大きな前進につながります。

  4. 振り返りと再設計 定期的に立ち止まり、進捗をレビューし、計画を見直す習慣をつけましょう。 自分一人では難しければ、指導者や仲間に相談することで 視野が広がります。 リフレクション(内省)の習慣は、研究者にとって一生の財産になります。

キャリアと研究の接続

研究を通じて得られる力は、学問の世界だけに閉じません。

  • 問題発見・解決能力:複雑な課題を整理し、打開策を見出す。
  • 論理的思考力:主張を明確にし、根拠を積み重ね、説得力を持たせる。
  • 協働力と対話力:異なる専門や立場の人と意見を交わし、合意形成する。
  • 自己調整能力:計画を立て、実行し、修正し、目標に向かって歩む。

さらに、自分のテーマの背後にある普遍的課題や、 学問領域内外の接続を意識できると、 研究は一気に視野の広がる営みとなります。 「なぜ自分はこのテーマをやっているのか」「この知見はどこにつながるのか」 という問いを持ち続けましょう。

この章のまとめ

  • 成長は、考え方と態度を養うことにある。
  • 主体性、対話、失敗の活用、振り返りが成長を後押しする。
  • 研究を通じて得た力は、学問を超えてキャリアや人生の礎となる。
  • 個別のテーマを超えた普遍性や接続性を意識することで、 研究の意味と楽しさが一層深まる。