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査読する側になる

自分の論文が査読を受けてきた裏側には、別の研究者が時間を割いてくれた事実があります。査読を引き受ける側に回るのは、その持ち出しを次に回す仕事です。最初の依頼は、博士課程の後半から数年目あたりに届きます。

依頼が来たら、専門性、時間、利益相反の三点で判断します。自分が評価できる内容か。近いけれど完全に専門とは言えないなら、どの観点なら貢献できるかを書いて編集者に相談してかまいません。締め切りまでに時間を取れるか。急いで不十分な査読を返すより、断るほうがコミュニティのためになります。そして、著者との共同研究歴や競合研究の実施など、公正さを損なう事情がないか。断るときは、理由を一言添えて適任者を推薦すると編集者の助けになります。

レポートの構成は、論文の要旨と貢献の要約、評価できる点、重要な問題点と改善提案(Major)、細かい指摘(Minor)、総合判断の順が読みやすいです。冒頭の要約は、自分が論文を正しく理解しているかの確認にもなります。誤読していれば、編集者か著者が気づいてくれます。

指摘は具体的にします。「説明が不十分」ではなく、どの節のどの記述を、どの観点で補うべきかを書く。ページと行番号を添えると著者の作業が軽くなります。追加実験を求めるときは、 それが必須なのか、あれば良い程度なのか を明示してください。この区別があるだけで、著者の対応がまるで変わります。

査読中の論文は機密情報です。内容を誰かと共有したり、自分の研究に取り込んだりはできません。査読していること自体も口外しない。「いま面白い論文を査読している」と SNS に書くだけで、どの論文か特定されることがあります。

最初の数本は、編集者の了承を得たうえで指導教員に見てもらい、言い方が厳しすぎないか、指摘の根拠が薄くないかを確認してもらうといいです。査読の作法は、そうやって受け継がれていきます。