メンターとの対話
研究を進めるうえで、メンターとの対話は欠かせない要素です。
そもそも、あなたは「メンター」という言葉にどんなイメージを持っていますか? 何でも教えてくれる先生? あるいは、時に厳しく指導するコーチ? 多くの学生が陥る誤解は、メンターを「答えをくれる人」と考えてしまうことです。
実際のところ、メンターはあなたの問いや迷いを一緒に掘り下げ、思考の道筋を整理し、研究を前に進める手助けをする存在です。 つまり、問いがなければメンターは動けない のです。
良い対話のための心がけ
まず重要なのは、「進捗や課題を自分の言葉で説明すること」です。 どんな小さなことでも、「今、何を考え、何につまずいているか」を話せる準備が対話の質を決めます。
そしてもう一つ大事なのは、メンターとの関係は単なる学習契約ではなく、人間関係である という理解です。 つまり、そこには敬意、感謝、信頼が欠かせません。
さらに意識しておきたいのは、相手の時間の価値は自分の時間と同等ではない ということです。 たとえば、時給換算すれば、メンターの1時間はあなたの何倍もの価値があります。 この1時間を無駄にしないためには、メンターから受け取った助言を、あなた自身が何倍もの時間をかけて真摯に受け止め、具体的な行動に変える姿勢が大事です。
メンターがあなたに時間を割き、知識や経験を提供するのは、学費に含まれる「サービス」として保証されているわけではありません。 むしろ、指導者側の善意や熱意によって成り立っている部分が多く、学生が思っている以上に「当たり前」の範囲は狭いのです。
だからこそ、
- 感謝の気持ちを持つこと
- 相手の時間と労力を当たり前だと思わないこと
- 相手の時間の価値に見合うだけの準備と努力をすること
- 自分の研究に自信と責任を持って向き合うこと が、質の高い対話の土台になります。
また、メンターにとっても、対話は一方的な労務ではありません。 あなたの成長や挑戦を共に考え、喜び、時に悩むことは、彼らにとっても意味のある学びであり喜びなのです。 だからこそ、あなたの誠実さや真剣さは、思っている以上に相手に伝わり、対話の質を左右します。
この節のまとめ
- メンターは問いに応答し、思考を整理する助け手である
- 良い対話には、進捗や課題を自分の言葉で説明する準備が不可欠
- メンターとの関係は人間関係であり、敬意と感謝を忘れない
- 相手の時間と労力を当たり前だと思わず、自分の時間の何倍もかけて報いる姿勢が大切
- 誠実で真剣な姿勢が、対話の質を高める