内発的動機付け
なぜ研究を続けられるのか?
研究は、外からの評価や報酬がすぐに返ってくる営みではありません。 むしろ、長い期間にわたって見えないトンネルを進んでいくような感覚が続くこともあります。
そんな中で、なぜ研究を続けられるのか? その鍵となるのが、 内発的動機付け(intrinsic motivation) です。
内発的動機とは?
内発的動機とは、 外部からの報酬や評価ではなく、行為そのものへの関心や喜びに支えられた動機づけ です。
- 「分からなかったことが少し分かった」ことの嬉しさ
- 「まだ誰も知らないことを自分が明らかにしようとしている」高揚感
- 「この問いについては、誰よりも考えてきた」という誇り
こうした感情があるからこそ、困難を超えて、問いを追い続けることができるのです。
内発的動機はどう育つのか?
「最初からそんな気持ちは持てない」と思う人もいるかもしれません。 けれど、内発的動機は才能ではなく、 育つもの です。
- 自分なりの問いを立てる
- 小さくても「意味がある」と思える手応えを得る
- 思考や試行の中に面白さを見出す
こうしたプロセスを丁寧に重ねることで、研究そのものが「自分ごと」になっていきます。
動機の多層性を理解する
もちろん、すべての行動が「好きだから」「面白いから」だけで動くわけではありません。
- 単位が必要だからやる
- 締め切りがあるから書く
- 人に認められたいから頑張る
これらも立派な動機です。ただし、 外発的動機だけに頼っていると、継続性や納得感に乏しくなっていく ことがあります。
だからこそ、 外的な要請のなかにも「自分なりの意味」を見つける視点が重要 です。 その積み重ねが、やがて内発的な動機へとつながっていきます。
本節のまとめ
- 内発的動機付けとは、研究を続けるうえでの最も持続的で深い原動力となる。
- これは生まれつきの性質ではなく、「自分の問いを持つ」「意味を感じる」という体験のなかで育っていく。
- 外的動機と内発的動機は両立しうるが、後者を育むことが長期的な研究活動の納得感と成長につながる。