人生と生き方
生きることは、選び続けることである
私たちは日々、何気ない選択を無数に繰り返しながら生きています。 どこに行くか、何を食べるか、誰と過ごすか。こうした選択の多くは小さなものですが、それらが積み重なった先にあるのが「生き方」です。
そして、生き方にはもう少し大きな選択肢が含まれます。
- どんな価値観を大切にするか
- どのような時間の使い方を選ぶか
- どのような人間関係・社会との関わり方をするか
こうした選択には明確な「正解」があるわけではありません。 だからこそ、 それを自分の意志で考え、選ぶことができるかどうか が、その人の「生き方」を決定づけていきます。
自分の人生を、誰が決めるのか
進路選択や将来のキャリアについて考えるとき、多くの学生が次のようなことを口にします:
- 「親に勧められたから」
- 「世間的に安定しているから」
- 「みんながそうしているから」
これらは合理的な判断のように見えるかもしれません。しかし、それが「自分の意志による選択」なのか、「他者の期待に合わせた反応」なのかは、見極める必要があります。 他人が設計したレールの上を走っているだけでは、たとえ「うまくいっている」ように見えても、深い納得感や充実感を得ることは難しいからです。
主体性とは何か
主体的に生きるとは、単に「自由気ままに行動すること」ではありません。 それはむしろ、 選択の理由を自分の中に持つこと 、つまり、選択の「責任」を自ら引き受ける態度です。
- どんな人生を送りたいのか
- 何に価値を見出すのか
- どのような影響を社会に与えたいのか
こうした問いに対する暫定的な答えを持つことが、主体的な生き方の出発点です。 研究とは、そのような生き方を訓練する営みでもあります。
人生は問いのスタイルでもある
問いのない人生は、与えられた答えに従うだけの人生になってしまいます。 逆に、問いを持って生きるということは、世界を絶えず見直し、再構成し続ける態度を意味します。
- なぜこのような制度になっているのか
- なぜ人は行動を変えないのか
- なぜ私はこれを面白いと感じるのか
このように日常の中に問いを見出す視点は、まさに研究の基礎です。 そしてそれは、自分の人生を「他人に消費されるもの」ではなく、「自分の問いから意味を生み出すもの」へと変えていく力になります。
この章のまとめ
- 生き方は小さな選択の積み重ねであり、その選択に納得できるかどうかが人生の質を左右する。
- 他人に委ねられた人生ではなく、自分の価値観に基づいて選択された人生こそが、主体的な生き方といえる。
- 人生そのものが「問いを持って生きる」プロセスであるという視点は、研究的態度と本質的に重なっている。