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研究費と科研費

研究費は、研究の一部であって、研究と切り離された事務作業ではありません。ただし目的ではなく手段です。これを見失うと、申請書を書くための研究になります。

日本の学術研究支援の中核は 科研費(科学研究費助成事業) です。種目には、規模と対象に応じて基盤研究(S/A/B/C)、挑戦的研究(開拓・萌芽)、若手研究、学術変革領域研究(A・B)、特別研究員奨励費などがあります。若手研究は博士の学位取得後8年未満が対象ですが、要件は改定されるので公募要領で確認してください。ほかに、JST(CREST・さきがけ・ERATO など)が基礎から応用への橋渡しを、NEDO が産業技術寄りの開発を支援します。民間財団の助成は規模こそ小さいものの、手続きが簡素で独創性を重視するものが多く、若手のうちは狙い目です。

戦略としては、取れそうにない大型を狙って毎年落ちるより、確実に取れそうな種目で実績を積むほうが、長期的には総額も多くなります。申請書で効くのは、新しさだけでなくなぜその新しさが重要かを書くこと、年次計画と予備実験で実現可能性を示すこと、これまでの実績や使える環境から自分がやる理由を示すこと、波及効果を学術面と社会面の両方から描くことです。審査員は多数の申請書をまとめて読むので、他分野の研究者にも伝わる言葉で書き、図表を惜しまないほうが通ります。

初稿ができたら、専門外の研究者にも読んでもらってください。「ここがわかりにくい」という素直な感想が、実際の審査員の反応にいちばん近いものです。

落ちたときは、ひと晩寝てから審査結果の開示内容を読み直し、どの評価項目で点数が低かったのかを特定します。計画そのものに問題があるのか、計画は良いが伝え方の問題なのか。この見極めで次の手が変わります。

学生のうちにできることは、指導教員の申請書作りを手伝って、書類の形を覗いておくことです。書いたことがある人とない人では、独立後の最初の科研費で差が出ます。