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導入

おめでとう!

あなたは今日から「 (退屈で) 受動的な学び」の時期から、「(自由で!)能動的な実践」の時期に移行します。 なんと素晴らしいことでしょうか。

僕も過去にあったその瞬間を思い出すだけでも胸がワクワクします。

でも、大学に入学して間もない頃や、研究室に配属されたばかりの頃、あなたはこんなことを考えたことはないでしょうか。

研究ってそもそも何だろう? 学会発表や論文執筆は本当に自分にできるのだろうか? 「研究者」って特別な人たちのことじゃないのか?

こうした問いは自然なものです。そして実のところ、ベテランの研究者であっても、折に触れて立ち返る根本的な問いでもあります。

本書は、そうした問いを抱えるあなたに向けて書かれています。これから研究の世界に足を踏み入れる人、あるいはすでにその世界で歩み始めた人に、「研究者として生きるとはどういうことか」を伝えることを目的としています。

研究は特別な人のためのものではない

研究とは、何か特別な人のためのものではありません。学部生として卒業研究に取り組むとき、修士課程で自分の問いを深めるとき、博士課程で世界に新しい知を提示するとき—あなたはその瞬間から「研究者」としての道を歩み始めています。

本書では、研究の意味、実践、技法、発信、そして研究者としての成長まで、ひとつの物語として案内します。個人的な問いから始まり、共同体の中で問いを磨き、社会に向けて知を届け、また次の問いを生み出していく—このダイナミックな営みを支える知識と心構えを、順を追って解説していきます。

あなたの歩みを支える小さな灯り

あなたがこれから研究室に入るとき、あるいは進学を決めたとき、「何から手をつければいいのか」「どんな景色が広がっているのか」—その全体像を見渡す助けになることを願っています。

最初は少し怖くてもかまいません。わからないことだらけでも、走りながら学べます。この本が、あなたの歩みを支える小さな灯りとなりますように。